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米津ケアマネの『人生はドラマじゃない』film.29「追憶」

2025.03.06

かつて映画監督を目指したケアマネジャー米津が、映画や音楽・小説などで表現されたものと現代社会の結びつきから、その課題を紐解きます。

 

 

film.29 「追憶」

 

🧠人間の脳は250万年の間に飛躍的に発達し、時間と空間と可能性の観念を獲得した(村上春樹『1Q84』より)。辛い思い出は比重をもって心の奥底に沈み、いくつもの別の時間を積み重ねることで蓋をしていく。しかし、それは必ず底にあって、ふとした折に顔を覗かせ我々の手を引いていく。幸福な思い出は気球が膨れ上がるように、出来事以上の思いを膨らませて我々を大空に導く。生きていくとは、我々の都合の良いように時間と空間をいびつに再構成し、自我と社会の狭間で生きる適応力として身に付く。

 

🧠ストレス社会と言われる。人間が適切に保てるコミュニティ範囲は知れているのに、今や無限の世界にある。星屑のような情報の中にあっては、“私”の存在意義に疑義を持つ。常に“誰か”が主体にあり、“誰かと私”という比較の中で生きなければならない。私の中に巣食う他者性が、人の失態を必要以上に糾弾し貶め、“弱者”を憐れみ自分は違うと安心感に浸っている。

 

🧠99歳で祖母は逝去した。100歳までとは思わない。突然だったとも言えない。ただ、雪の降る朝を迎えて、今日だったんだと思う。その表情や頭髪の温もりは99年の彼女の時間よりも、 “私と彼女”の中で積み重ねた思い出となって甦る。人間は脳のこの働きで身体の総エネルギーの40%を消費する(『1Q84』)。舞う雪で冷えない頭と身体の火照りに気怠さを感じるのも、他者性に侵されない私のいびつな時間の追憶である。🎥

 

 

 

 

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滋賀県NO.1愛されないケアマネに聞く「愛ってなんですか?」

 

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あいむすまいる!第85号 2025年3月2日発行
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